■テスト
『THE END OF DRIFTWOOD 〜Air / まごころを、君に〜』
※日記を読むときは、モニタから離れて、明るい場所で読みましょう。
※この日記はフィクションであり、エヴァのパロディであり、登場人物からしてすべてエヴァそのままでありますから、つまり実在の人物、団体、騒動、周辺、閉鎖動機とは一切関係がありません。
※基本的に科白の羅列なので、ストーリーはあってないようなものです。
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あらすじ
・時に、西暦二〇〇二年。テキストサイト界隈(旧称:リードミー村)は未曾有の危機に曝されていた。相次ぐ閉鎖。界隈の瓦解はもはや寸前、風前の灯の様相を呈していた。この日記はとあるサイト管理人・シンジの、管理人としての死と再生の物語である。
登場組織・物体紹介
・特務機関「NAPH」:主だった登場人物たちが所属する組織。
・スーパーコンピュータ「ナフシステム」:特務機関NAPH運営の根幹をなす、スーパーコンピュータの集合体。ネット弁慶としての側面を持つ「MOMO核」、言及者の側面を持つ「九十九SHIKI」、界隈への影響力を重視する「TAKEDA」の3機からなる。この3機の合議制により、NAPHは組織としての意思決定をしている。だが、3機の意見が一致する事は、まずない。
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イントロダクション
「DRIFTWOOD:DEATH」
二〇〇一年 オフ会会場
 「彼の提唱したクラブイベントですか?」
 「あれは、あまりにも突飛過ぎるよ。まだ願望の段階に過ぎん代物だ」
 「しかし、オフ会の改革を図るためにもイベントは必要です」
 「会場の下見は?」
 「まだです」
 「イベントを開催する前に下見は必要だろ。大丈夫か?」
 「会場との接触実験は来月の十三日の予定だ。調整は間に合うよ」


 キール「テキストサイト管理人ってえのは、どうも自分の面白さを信じすぎるからね」
 ゲンドウ「独善的ですか」
 キール「思い込みが激しすぎるんだよ。現実を的確に把握できん連中だからな」
 ゲンドウ「そういう人種が“面白さ”を求めている。皮肉なものです」
 キール「彼らはそんな、崇高なものではない。馴れ合いは喜びであり、アクセス数アップは支配に繋がる。求めているのは、自分の気持ち良さだけだ」
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本編
二〇〇二年十二月三十一日 「Air」
シンジの独白
 「馴れ合いの輪に入れないのも、サイト叩きも両方怖いんだ。…助けて。助けてよ」
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場面変わり、葛城ミサトの独白
 ミサト「できそこないの群体としてすでに行き詰まったテキストサイト管理人を、完全な社会適合者へと人工進化させる補完計画。まさに理想の世界ね。その為に委員会はまだ使うつもりなんだわ。あのアクセス数を。加持君の予想通りにね」
古いICQのログやメッセンジャーのログを遡り検証するミサト。その顔は、険しい。
 ミサト「そう、これがあのオフの真意だったのね」
その時、一斉に叩き書き込みや言及、他サイトからのネガティブアクセス剛掌波が展開され始める。
 ミサト「気付かれた? いえ、違うか。―――始まるわね」

場面変わる。叩きの渦中、苦い顔をするNAPHの面々
 冬月「やはり、最後の敵は同じテキストサイト管理人だったな」
 伊吹「相手は同じテキストサイト管理人なのに…」
 日向「向こうはそう思っちゃくれないさ」
叩き書き込みにうろたえる面々
 青葉「自演で擁護を書き込んで」
 伊吹「私…私、自演なんてできません」
 青葉「訓練で何度もやってるだろ」
 伊吹「でもその時は実際に叩かれてなんかいなかったんですよ!」
 青葉「バカッ! 書き込まなきゃ叩かれ続けるぞ!!」

アイキャッチ入る。“Diary is destructive.”
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場面変わる。シンジを確保したミサト。
 ミサト「まずいわね。奴ら、シンジ君のサイトを閉鎖に追い込もうとしている。こいつぁウカウカできないわね。急ぐわよ」
動かないシンジ
 ミサト「シンジ君。叩きから逃げるのか、更新をするのかどっちかにしなさい! このままだと、何もせずに閉鎖するだけよ!」
 シンジ「…もう、嫌だ。死にたい。……何もしたくない」
 ミサト「何甘ったれた事云ってんのよ!アンタまだ閉鎖してないんでしょう! だったらしっかり更新して、それから閉鎖しなさい!!」

場面変わる。さらに苛烈さを増す叩き書き込み及びネガティブアクセス剛掌波。ついには掲示板に個人情報まで曝され始める。
 日向「奴ら、加減てものを知らないのか!」
 冬月「無茶をしおる」
 伊吹「ねぇ! どうしてそんなにアクセスが欲しいのっ!?」

ミサトの車内
 ミサト「影響力の確保とネゲットがしたいのよ。アクセス数を使ってね。その上で目障りなサイトを閉鎖させたいのよ。シンジ君。私たちも彼らも、同じテキストサイトという源から生まれた管理人だったのよ。他の管理人達は別の可能性だったの。ただ、お互いを拒絶するしかなかった哀しい存在だったけどね…。いい、シンジ君。叩きを全て沈黙させるのよ。生き残る手段はそれしかないわ」

場面変わり、ネガティブアクセスの中、潜む惣流・アスカ・ラングレー。
 アスカ「イヤ…叩きはイヤ……叩きはイヤ、叩きはイヤ、叩きはイヤ、叩きはイヤ、叩きはイヤ、叩きはイヤ、叩きはイヤ」
 「叩きは、いやああぁぁ!!」
光の中、復活するアスカ。ネガティブアクセスをものともしない更新を見せる
 アスカ「私、わかったわ。テキストサイトの意味」
 アスカ「私を護ってくれてる」
 アスカ「私を見てくれてる」
 アスカ「負けてらんないのよ! アンタたちにぃ!!」
八面六臂の更新を見せるアスカ。苦々しく思う委員会は、裏事情通の投入を決定する。
 冬月「名無しさん@裏事情通が9人同時降臨とは。大ゲサすぎるな。まさか、ここで起こすつもりか!?」

場面変わり、叩きに急所を突かれ、瀕死のミサト。シンジとの会話。
 ミサト「自分のサイトが嫌いなのね。だから界隈も嫌い。でも、どんな思いが待っていてもそれはあなたが更新したサイトだわ。価値のある事なのよ。シンジ君。あなた自身の事なのよ。ごまかさずに、出来る事を考え、更新は自分でやりなさい」
 シンジ「……ミサトさんだって、他のサイトの管理人の癖に、何もわかってない癖にっ!」
激昂するミサト
 ミサト「他のサイトだからどうだってぇのよ!! あんたこのままやめるつもり!? 今ここで何も更新しなかったら、私、許さないからね。一生あんたを許さないからね……!」
 ミサト「今の更新が絶対じゃないわ。後でつまらないと気付き、後悔して次の日記をアップロードする。私はその繰り返しだった。ヌカ喜びと自己嫌悪を重ねるだけ。でも、その度に前に進めた気がする」
 ミサト「いい、シンジ君。もう一度更新してケリをつけなさい。サイトを運営していた自分に。何の為にサイトをやっていたのか、何の為にここにいるのか、今の自分の答えを見つけなさい。そしてケリをつけたら、必ず戻ってくるのよ。約束よ」
 シンジ「……うん」
 ミサト「いってらっしゃい」
 ミサト「大人の日記よ。帰ってきたら続きを書きましょう」
そう言って、シンジを送り出すミサト。もはや虫の息。

 ミサト「こんなことなら、アスカの言う通り過去ログを消しときゃよかった。ねえ、ペンペン」
 ミサト「加持君…。私、これで良かったわよね…?」
爆発。四散するミサト。
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碇ゲンドウと対峙する、ナフシステムの管理者・赤木リツコ。
 リツコ「ごめんなさい。あなたに黙って先ほど、ナフのプログラムを変えさせてもらいました。私から最後の頼みよ。一緒に閉鎖してちょうだい」
だが、ナフシステムは作動しない。
 リツコ「作動しない?何故?」
モニタを見るリツコ。3つのスーパーコンピュータの内1機、「TAKEDA」が、閉鎖を否定していた。
 リツコ「TAKEDAが裏切った? TAKEDAは、ネッ友よりも影響力を選ぶのね…!?」
 ゲンドウ「赤木リツコ君。本当に、××××……」
ゲンドウの言葉は聴こえない。が、それを聴いて微かに、微笑むリツコ。
 リツコ「ウソつき」
そしてゲンドウの放った銃弾により、リツコは倒れた。
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場面変わり、裏事情通との交戦を続けているアスカ。アスカの攻勢に、裏事情通は圧倒されているかのように見える。
 アスカ「負けてらんないのよ。読者が見てるのに! こぉれぇでぇラストォオォォオオオ!!」
とうとう最後の1人を論破したかのように見えたアスカ。だが、彼方から、新たな攻撃がアスカに加えられた。
 アスカ「メッセ晒し!?」
アスカのATフィールドを破るメッセ晒し。自分の、他サイトへの悪口・見下したような発言がふんだんに記載されているメッセのログを晒されては、アスカのサイトも耐えられるものではなかった。
 アスカ「ぎゃあああああぁぁあああ!!」
 アスカ「殺してやる…殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる」
終いには個人情報まで晒され、アスカは、とどめを刺された。
 伊吹「シンジ君! アスカが、アスカのサイトがぁぁ…!!」

だが、シンジのサイトは、ネット環境の不調により、更新できる状態ではなかった。
 シンジ「だって、ネットに繋げないんだ。どうしようもないんだ」
しかしその時、シンジのネット環境は復活する
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 ゲンドウ「シンジがサイトを更新しだしたか」

久々にネットに繋げているシンジ。巡回先では、アスカのサイトが多数のネガティブアクセスに晒され、無残な閉鎖を遂げていた。

 シンジ「アスカ?」
 シンジ「!!!!!!」
 シンジ「うああああああああああ!!!!!!!!」
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続く

[2003.04.01]