PULP『DIFFERENT CLASS』に関して


1.MIS-SHAPES 7.SOMETHING CHANGED
2.PENSIL SKIRT 8.SORTED FOR E'S & WIZZ
3.COMMON PEOPLE 9.F.E.E.L.I.N.G.C.A.L.L.E.D.L.O.V.E
4.I SPY 10.UNDERWEAR
5.DISCO 2000 11.MONDAY MORNING
6.LIVE BED SHOW 12.BAR ITALIA


1995年に僕は大学生になった。自分が大学生だなんて驚き以外のなにものでも無かった。大学生といえば、例えば幼年期の頃など「大学生なんてもう完全におとなの人なんだろうなあ」と思っていたものだから、イメージ上の「大学生」と現実の自分とのギャップに困惑、そんでギャップを埋めようと背伸び、なんていうお定まりのコースを当時の僕も歩んでいた。背伸びした結果にズレが生じた格好と風貌、明らかに恥ずかしい言動の数々、と、思い出すとあまり気分の良いものではない。いやまあ、あの頃と今の自分とそう変わらないんじゃないのという事実はさて置き、あの頃の僕は今よりもまあ若かった。と思う。色んな意味で。

なんてな事を臆面も無く書いてしまう辺りが変わっていないところなんですが、PULPの『DIFFERENT CLASS』は主に大学1年、1995年頃に聴いていました。当時はブリットポップ全盛、オアシス vs ブラーとか、今からすると懐かしいなあと思います。僕はだいたい1994年くらいからオアシス辺りの所謂UK勢をぽつぽつ聴き始めたクチで、例えばスクリーマデリカとかその辺のもっと前の頃はプライマルスクリームなんつったら、なんかへろへろなのを歌ってるイギリスのバンドくらいの認識しか無かったです。ハードロック大好キッズだったものだから、レイヴとか言われてもわかんねー、つうかあいつら音重くねえべ?ギター下手なんだべ?という様な。あとその頃はプライマルスクリーム、って聞いて真っ先に僕が思い出すのはモトリークルーの曲でした。プライマルスクリーム!アンドシャウト!イェア!悪魔に叫べシャウトアットザデボー、なんて按配。

ちょっと話が逸れたので元に戻します。PULPもかなり長いキャリアを誇るバンドですが、世間一般的に代表作といえばこのアルバム『DIFFERENT CLASS』になるでしょう。当時、フロントマン、ジャーヴィス・コッカーのヘナヘナ腰から繰り出されるポップ・ソング、『COMMON PEOPLE』が英国を席捲しました。その『COMMON PEOPLE』が収録されているのが『DIFFERENT CLASS』です。英国においては階級意識との絡みもあるし若干違ってくるのかもしれませんが、日本人の僕の目には『DIFFERENT CLASS』は、さえない連中の精一杯なダンシンシンギンエキサイティン、ってな具合に見えたのです。それがさえない僕の心を掴んだ事はまあ言うまでも無いのですが、この『DIFFERENT CLASS』の格好良さはそんな連中が輝く瞬間のどうしようもない格好良さだ、と断言してしまいたいのです。例えば「君の下着姿を見たいが為の人生だ」なんて事を朗々と歌っているM10『UNDERWEAR』ですとか、決して「裸が見たい」では無い辺りの距離感がPULPらしいのですが、そんな連中がM1『MIS-SHAPES』では「奴らは僕らを打ち負かしたと思っているんだろうけど でも復讐はとても甘美に進んでいるのさ」「あんたらの家が欲しい あんたらの人生も欲しい あんたたちが僕らに所持を認めてくれなかったものが欲しい けど僕らは銃を使わない 爆弾も使わない 僕らの心を使ってやる」なんて風な言葉をペラペラなシンセサウンドに乗せて宣言するもんだから、とてつもなく格好良く思えてしまうのです。特にシングルヒットしたM3『COMMON PEOPLE』はちょっと涙ぐみながらも陽気に踊りたくなるような、そんなPULP節炸裂の1曲。今久々に聴いていますがとてもたのしいです。