■2002年6月8日、中村一義ライブ感想
一貫して感じた事は聴衆とバンドとの親和性の高さだった。僕は中村一義のライブを観るのは初めてなのだけど、僕が今まで見たどのライブよりそれが強かったように思う。 所謂「気の合う仲間に語りかけるようにオーディエンスとの関係性を築く」タイプなのが中村一義、及び彼のバンド「 100 式」なのだろう。

ライブは『犬と猫』で始まった。ライブで初めて聴く『犬と猫』はCDで聴くよりもハードな演奏で心地良かった。どう?という中村一義の声から曲は始まるのだが、 「どう?」と入ってドラムの音がドン、ドン、というイントロ、ってこれは盲点というか、凄いものを聴いているのじゃあないかと初めて聴いた時そう思った事を憶えている。 そしてこの驚きは中村一義登場を好意的に捉えた人にとってある程度共通しているのではないかと思う。なお、余談だが中村一義の声は力強い。圧倒的な声量であるとか そういう意味で無しに、聴き手を巻き取るかのような特徴的なその声は例えばアクセル・ローズ、例えばリアム・ギャラガー、例えば石川梨華のように聴衆を魅了する。 反面、声の好き嫌いで評価がかなり分かれるのだが。僕の知り合いは中村一義の歌声を「気持ち悪りぃなあ」と評して恐らく2度と聴かぬ、とした程なのだから。

さて、『セブンスター』『ショートホープ』等の曲を交えステージは進んだ。その際時折、というより結構頻繁にMCが入るのだけれど、 100 式と観客の会話の掛け合い は前述の親和性を大いに感じさせるものだった。例えば「(明日がツアー最終日だけど、明日はともかく)今日のこの場所は、ここにいる僕らの空間だからね。 目一杯楽しもう」という主旨の発言を中村一義がをしたのだけど、「今日は目一杯楽しもうゼ!」ではなく「まぁ目一杯楽しもうよ」と笑顔で語りかける中村一義。 応える聴衆。そしてどうやら僕はその空気が嫌いじゃあ無いのだ。彼と彼のバンドの醸し出す雰囲気が、場を楽の空間にさせるのだろう。 そしてそうこう考えているうちに『キャノンボール』が始まった。歓喜。僕の後ろにいた連中がライブ後、「なんつうかさ、『キャノンボール』は別格かもなあ」と話していたのだが、 僕もそう思う。イントロだけで持ってかれる。凄い。大好きだなあこの曲。ちなみに『キャノンボール』はCDよりもテンポの早い演奏で、楽しくてもう僕はスプリングの如く跳ねていた。

そう、中村一義のステージはCDで聴くよりもよりもずっとギターロック色が強く、それは個人的な好みとも一致しているので実に楽しめたのだ。本当楽しい。 ただ、アンコールで披露した『ハレルヤ』は、さながら海援隊のような形式で演奏されていた(実際、中村一義が途中、武田鉄也的な振舞をして笑いを誘っていた)。 オーディエンスも手を振って合唱、と、僕は正直聴いていてそこは少しだけ恥ずかしかったのだけど中村一義はとても楽しそうだった。彼はそうした事を無闇に恥ずかしがるという 様な地平には立っていないのだろう。というか、楽しそうな彼を見ていると其処ら辺が結構どうでも良くなってくる。中村一義は、そのリスナーが信者化するし、 彼もまた無意識的にかそれを助長している、と揶揄される事も少なくないよなあと僕は勝手に感じていて(言ってしまえばそれは、つうかロッキンオン、スヌーザー系列でしょ? として捉えられる事が多いんじゃないかなあと僕が勝手に思っているだけなのだが)、その言い草も頷ける部分はあるのだが、ただ、僕にとっては良いメロディを書く良いシンガーで、 彼の立ち居振舞いも好感が持てる、と来れば好きになる要素ばかりなのだった。

追記:なお、本日は新曲(『新世界』という曲らしい)も披露され、更にそのPV撮影もライブ後に行われたので、何か得した気分に。 新曲はミドルテンポで、ギターががんがん鳴ってました。適当すぎる感想ではありますが、つまりはPVはライブ映像がメインになるゼ?、とまぁそういう事です。 いやあ、ライブ全体的にすげえ、楽しかったなあ。それと、もう一つ余談だけれどライブが終了してPV撮影までの間、自分の曲である『笑顔』をSE的に使用して間を繋いでいたのだが、 それは僕に去年モーニング娘。が春コン時、『愛車、ローンで』のカラオケ映像を間繋ぎ的に使用した事を思い出させたのです。そういやありゃあ凄かったなあ。 つうか中村一義ったら、こりゃハロプロの影響受けてんヨ?ディフィニットリィ、メイビー。知らないけれども。