■2002年12月18日、マーキュリーレヴライブ感想

マーキュリーレヴを聴いて思い出すもの。真夜中に一人帰る夜道。雨の日の自室内。ベッドに横たわりながら何もしない時間。 何かしようと思っていて、何もしなかった日々。

 

僕は例によってロキノンに感化され『Deserter's Songs』からマーキュリーレヴを聴き始めたクチで、確かあのアルバムが98年リリースだっただろうか、その年はずうっと『Deserter's Songs』を聴いていたような気がする。ずうっとと言うと語弊があるのだけど、まあ相当聴いていた。98年だとか99年は丁度個人的にあまり良くは無い思い出が多い年で、しかし時間だけはあったものだから何の足しにもならない事を延々と考えていたりしていた。『Deserter's Songs』だとかeelsの『electro-shock blues』だとかは僕にとって傍から見るとどうにも駄目で、実際駄目な時間を過ごしたと思うのだけど、ただそれを他人に指摘されると凄く心中穏やかでないようなそんな日々を思い出させるものだった。とても恥ずかしい言い方をするなら、『Deserter's Songs』はそんな日々のサウンドトラックと言ってもいい。そんな、書いた後に猛烈に恥ずかしくなるような言葉を使ってしまったけれど、それが、その恥ずかしさがあの頃の僕の偽らざる姿だったのだと思う。

 


そのマーキュリーレヴを観に行った。『Deserter's Songs』や最新作『All Is Dream』からの曲が中心だった。実に良いライブだったと思う。 アルバムよりもダイナミックな演奏は決してわかり易い激しさを伴うものでは無かったけど、ひどく気持ちが良かった。 正直、「Holes」が演奏された時、少し泣きそうになって(結局泣かなかったのだけれど)、しかしその感覚は98年や99年に僕が感じていたそれとは 少々異なるものだった。例えるなら、以前はその歌の中に過剰に「入り込もう」としていた自分がいた (さらにわかりやすく言えば、ここで感動「しなきゃ」とかうすぼんやりと思っているような、そんな感じ)。けれど、今はだいぶ、 いやそんなに変わってないのかも知れないけど、でも少し変わったような気がする。なんてのはとても根拠の無い物言いだが、しかし実際昔「Holes」を生で 聴いたとしたら本当に泣いたのだろうなと思う。僕はもしかしたら変わったのかもしれない。いや、実際には、自分では変化したと思い込んでいるというのが 正しいところだろうか。そしてその変化を良しとしている。昔の僕が今の僕を見たら唾棄するのだろうか。というような事をライブ中は全然思わなかったのだけど 今日ふと思った。